ファンパーク

学生時代から現実と真摯に向き合いつつ、着実に『プロ』に近づいた。
サッカーが「うまくなるため」に、強豪・鹿島アントラーズに
飛び込んだことで、数々のタイトルと自信を得た。
そして今、神戸という新しい場所で、新しい歴史を作ろうとしている。
挑戦することで未来を切り拓いてきた田代有三は、今日も前へと突き進む。

高校3年時に国体メンバーに選出されたことが転機に

 先にサッカーを始めた二人の兄の練習をいつも観に行っていたことから、「サッカーをしたい」と思うのは自然の流れだった。小学1年生になった時にその気持ちを母に伝えると、「監督に頼んでみれば?」と母。その言葉に背中を押され、自ら監督に願い出た。
「僕もサッカー部に入らせてください」
「本当は3年生にならないと入れないけど、これからはゲームも我慢して、サッカーの練習を頑張れるか?」
「はい、できます!」
 特例で石丸小学校サッカー部に入部したものの、すぐに頭角を現すことはなかった。小学4年生時にはJリーグが開幕し、テレビで見るJリーグの華やかさに夢中になったが、それも「アニメのヒーローを見ているような感覚で、自分がプロになれるなんて考えてもみなかった」と田代。下山門中学校に進学後もそれは変わらず、中学3年生になった頃に部屋の壁に『プロになる』と書いて貼ってはみたものの、「夢というより願望みたいな感じで、本気では思っていなかった」

 そんな彼が唯一、興味を引かれたのは『全国高校サッカー選手権』だ。その舞台に立ちたいという思いから一時は県内きっての強豪校、東福岡高校への進学も考えたが、結果的に福岡大附属大濠高校への進学を決めた。

「僕らが中3の頃の東福岡は、全国で三冠を達成するほどめちゃめちゃ強い時代で。サッカー部に推薦で入る人だけで、一学年30人もいた。つまり単純に、最低でも90人もの部員がいることになりますからね。そんなところに入っても試合に出られないだろう、と。それもあって、大濠に行って、打倒・東福岡で頑張ろうと思った。あと、大濠なら家から自転車で通える距離だったのもポイントでした(笑)」

 大濠高校時代は、憧れの選手権には出場できなかったものの、高校3年生の時に国体メンバーに選出。そのことが彼の転機になる。と言うのも、同チームには東福岡や筑陽学園、東海大学付属第五高校など名だたる高校からいい選手が集まってきていたが、いざ一緒にプレーしてみると「意外に俺もやれるんだな」と思ったからだ。その手応えはアビスパ福岡ら、Jクラブと練習試合をしても変わらず、いつしか「もう少し頑張ればプロになれるかもしれない」という期待が膨らんでいく。

「当時はヘディングを武器にしようと思い始めていた頃で、実際にプロの選手と競り合ってもほとんど負けなかったんです。それもあって『プロ』を描くようになったんですが、実は早々に福岡大から声を掛けてもらっていて。しかも特別推薦で入るには、国体前に決断しなければいけなかった。ただ、僕としては大濠高校への進学時に漠然とながら『大濠でうまくなって福岡大に行けたらいいな』と考えていましたからね。その通りになったからいいか、と思って決めました(笑)。それに高3でアビスパの練習参加をした際に、強化の方に『1番手に大久保嘉人(川崎フロンターレ)、2番手に田原豊、3番手にお前という順で獲得を考えている』って言われたんですよね。もちろん、その2人はいい選手だから納得はしたけど……でも、やっぱり悔しかったというか。いずれにせよ、そんな中途半端なレベルの僕がプロで通用するわけがないとも思い、福岡大進学を決めた。そうしたら、国体で結構点を取って活躍したこともあり、大学時代はいろんなプロクラブの方がプレーを観に来てくれるようになりました」

 大学での4年間は「自分を見つめ直すにも、武器を磨くためにも大事な時間だった」。同大学の乾眞寛監督には常に「センタリングが上がれば、とにかく背後を取れ」と教えられていたからだろう。彼はそのプレーを意識しながらセンタリングに対するタイミングの取り方や、ディフェンダーとの駆け引きの技術を磨く。一方で、大学3年で大分トリニータの、4年でサガン鳥栖の特別指定選手に選出。プロの世界を体感したことも、その成長に拍車をかけた。

「大学では通用していたセンタリングからのシュートも、プロでは簡単には通用しなくて。それを体感できたのは良かったし、鳥栖時代にJ2リーグに出場し『J2リーグでもこの程度しかできないのに、このままの自分でJ1リーグでも通用するのか?』という疑問を持てたことは自分を見つめ直すいい機会になった」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.14[AUG.2014]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.14[AUG.2014]
  • 「今月の男:田代有三」(田代有三選手特集)
  • 田代編集長のレンタルルーム IN THE ROOM~ウヨンの部屋
    (チョンウヨン選手がシンプリシオ選手をゲストに迎えた対談)
  • 相馬崇人の欧州蹴球探訪
  • HASSY's EYE(橋本英郎選手がプレーや戦術を解説)
  • チョンウヨン直伝!韓流スタイル
  • あの人は今(第4回:Fリーグ アグレミーナ浜松 中村友亮選手) ほか

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

田代有三

Profile
田代有三(たしろ・ゆうぞう)
ダイナミックなボレーシュートなどによる得点力とともに、空中で止まって見える跳躍力でボールをキープし、味方を生かすプレーも巧みだ。今季は最前線の競争が激しく、ここまで決して多くの出場機会を得られていないが、その状況にも真摯に向き合い、チャンスを得た時はチームの勝利の為に果敢にゴールを狙う。
1982年7月22日生まれ、福岡県福岡市出身、181cm/77kg