ファンパーク

「悔しいし、情けない」。そう1stステージを振り返った負けず嫌いのセンターバックは、
一方で手応えも感じ取っていた。
このサッカーを自分たちのものにできれば強いチームになれる──。
的確な読みとスピード、対人プレーの強さに加え、攻撃面での活躍も誓う高橋祥平が、
自身の、そしてクラブ初のタイトルへヴィッセルを導く。

神戸への移籍を決断したのは新しいサッカーへチャレンジしたかったから

―シーズンも半分を過ぎ『ネルシーニョ・イズム』がようやくチームとして形になりつつあるように思います。高橋選手ご自身の手応えはいかがですか? 「確かにシーズン当初に比べれば、チームとしてもようやくネルシーニョ監督の戦術を頭で理解するだけではなく、体で、プレーで表現できるようになってきたのかな、とは思います。ただ、正直最初はすごく難しかったです。というのも、監督の戦術は本当に細かな約束事があり、守備においても様々なことを準備しなければいけなかったから。それは守備を預かる僕らにとって、すごくありがたいことなんですが、当初は頭で理解したことをなかなか体で表現できなくて。そのせいでプレーの選択を迷うことも多かったし、その迷いがプレーの遅れにつながり、ミスになることもあった。特に僕自身はプロサッカー人生で初めて本格的に3バックでプレーするにあたって、4バックとの細かな違いに戸惑うこともありました。だから、最初はすごく頭が疲れました。ただ、サッカー選手として「考えながらプレーすること」はすごく大事ですからね。実際に、チームの規律の中で、自分のやるべき仕事や特徴をいかにその規律に落とし込めるかを考えながらプレーするのは勉強にもなるし、楽しくもあります」

―開幕直後には「考えることと体がまだ連動していない」という話をされていました。「楽しくもある」のは、半年が過ぎて、ようやくその擦り合わせがうまくいき始めたということでしょうか? 「試合を重ねるごとに良くなってきた……というか、慣れてきたとは思いますが、監督の理想や僕自身の理想にはまだまだ程遠いです。そもそも東京ヴェルディ、大宮アルディージャ時代はともにゾーンディフェンスで、声を掛け合いながらマークの受け渡しを行い、相手FWをハメていく守備でしたからね。攻撃においても、僕自身の前への姿勢、強さを生かしてほしいと言われていたので前線に攻め上がることも多かったのですが、ヴィッセルでは、まず守備でいかに潰せるか、一対一で負けないか、ヘディングでどう勝てるか、という部分がベースにあります。対人プレーに関しては僕自身も自信を持っているところなので、そこまでやりにくさはないけど、空中戦はそれほど強くはないだけに難しさも感じています。また、求められるプレーをすることでいっぱいいっぱいで、今はまだそこにどう自分の良さを落とし込んでいくかを考える余裕もない。ただ、どのチームでも新しいサッカーをする時は時間がかかると思うので。今はとにかく監督の求めるサッカーや仕事を自分の体に刷り込ませることを第一に考えているし、それができれば、また次のステップに向かえると思います」

―東京Vや大宮時代はセンターバックのみならず、ボランチやサイドバックでもプレーされました。そうしたユーティリティー能力をもってしても、新しいサッカーに順応するのは難しいことなのでしょうか? 「人それぞれ考え方は違うだろうけど、僕は『個』の持ち味を許された中でポジションが変わることより、システムや規律の中でプレーすることのほうが難しいんじゃないかと思っています。それに、ボランチやサイドバックは自分の持ち味を生かしやすいポジションだったし、初めてやるポジションでもなかったので、スムーズに移行できたというのもありました。ただ、今ヴィッセルが取り組んでいるサッカーを自分自身のものにできれば、プレーの幅も広がるだろうし、プレーの選択肢も増えるはず。ヴィッセルへの移籍を決断したのも、新しいサッカーをやってみたいという思いもあってのことだったからこそ、今はこのチャレンジにポジティブに取り組んでいます」

―厳しいポジション争いもある中で、開幕からここまでほとんどの試合にフル出場されています。それはある意味、監督の『評価』だと思うのですが。 「ただ……J1リーグ開幕戦は試合の2日前までスタメンで出場できると思っていたのに、途中出場でしたからね。個人的に柏レイソルは相性のいい相手だったからこそ「そこでしっかり自信を蓄えよう」という思いもあったので、急に外された時はすごく落ち込み……頭では「監督の決めることだからしょうがない」と分かっていながらも、本音を言えば「何で!?」って思いもあった。でも受け止めるしかなくて……というか、周りの仲間がいろいろな声を掛けてくれて、気遣ってくれたおかげで「次の試合に向けて準備をしよう」と切り替えることができた。まあ、周りに助けられないと気持ちを切り替えられないようでは、僕もまだまだ子どもなんですけど(笑)。ただ、そういう思いを開幕戦から経験したことで、自分の考えも明確になった部分はあります。開幕戦のことも僕なりに「良ければ使ってもらえるし、悪ければ交代させられる」と理解したし、それは自分に危機感を持たせることにもつながりましたから。それもあって、あの試合以降は「いいパフォーマンスを続けていれば、結果を出せていれば、試合に出場できる」ということだけを自分に言い聞かせてやってきたし、その結果、多くの試合で先発出場できたのは良かったのかなと思います」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.23[AUG.2015]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.23[AUG.2015]
  • 「MONTHLY MAIN CAST」(高橋祥平選手特集)
  • 安田理大編集長企画「ファッション&持ち物CHECK!」
    (増山朝陽、森岡亮太、山本海人、田中英雄)
  • 「ヴィッセル選手の絵しりとり」石津大介選手
  • 「VISSEL LAB」相馬崇人選手
  • 一日店長?「ORE★TEN」田中英雄&安田理大
    (イーザッカマニアストアーズ) など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

高橋祥平

Profile
高橋祥平(たかはし・しょうへい)
東京Vユース時代の09年に、弱冠17歳でリーグ戦開幕スタメンデビュー。12年に大宮へ新天地を求めると、昨年はセンターバックながら6得点。守備力に加え卓越した攻撃センスもアピールした。今シーズンより神戸に完全移籍。鋭い読みと対人の強さを武器に、後方からチームを支えている。
1991年10月27日生まれ、東京都東大和市出身、180cm/70kg