ファンパーク

今シーズンついにリーグ戦デビューした生え抜きが、飛躍の時を迎えようとしている。
実戦を経てボランチとして守備の楽しさに開眼し、
「絶対的な黒子」を目指して自らを磨き続けると決意した前田凌佑。
その視線の先には、チームメイトの特徴を引き出し、
チームをさらなる高みへと導く、理想像への道のりがはっきりと見えている。

もっとうまくなって試合に出続けたい

―トップチームに昇格して、3シーズン目を迎えました。今年はどんな決意でスタートしたのでしょうか? 「1、2年目は全く試合に絡めずに終わっただけに、とにかく『このままじゃ絶対にダメだ』という思いが強くて。1年目は天皇杯に少しだけ途中出場したけど、自分としては「出たうちに入らない」と思っていましたしね。だからこそ、今シーズンは『スタートから全力でアピールをして絶対に試合に絡んでみせる』と思っていたし、『今年、試合に絡めなかったら先はない』という覚悟もありました。特に今シーズンは新しくネルシーニョ監督が就任し、ポジション争いが一からのスタートになったので、これまで試合に出場していない僕には、ある意味チャンスですからね。それも自分にとっては大きなモチベーションでした」

―沖縄での一次キャンプ後、神戸に戻ってからの紅白戦などではいきなりAチームに入ってプレーする姿も見られました。 「あれには正直、自分でも驚きました(笑)。今年は『スタートからアピールを』という思いが強かったとはいえ、沖縄キャンプはフィジカルトレーニングがメインでしたからね。それがアピールにつながるとは思っていなかっただけに、神戸に戻ってきて最初の紅白戦で突然、監督にAチームのビブスを渡された時は、普通に間違いだと思って『え!?』というリアクションをとってしまった(笑)。それに対して監督に『何を驚いているんだ?』という反応をされて、間違いじゃないと分かったんですけど、そうしてシーズンの序盤に『本当に、横一線のスタートなんや』と実感できたのは刺激になったし、改めて『監督は絶対に見ていてくれる。アピールし続けるぞ』という思いも強くなりました」

―とはいえ、鹿児島での二次キャンプも含め、序盤はチャンスをつかめない時期が続きました。気持ちが折れることはなかったですか? 「なかったです。それまでの2年間なら『やっぱりな』という思いになったかもしれないし、実際に1、2年目は自分の実力不足で試合に出場できないと頭では分かっていても、正直モチベーションが全くない時もあったんです。悔しい気持ちを消化できず、自分に落ち込んだり、サッカーが楽しめない時期もあった。ただ今年は、スタートから誰にでもチャンスがあると実感できていたし、シーズンが進んでいく中でも『調子のいい選手を使う』というネルシーニョ監督のメッセージも伝わってきましたからね。だからこそ試合に出られない状況を逆に自分のモチベーションにして『使ってもらえるまでアピールし続けよう』と思っていた。練習でも常に、自分ができることを精いっぱいやる、うまくなるために自分を磨き続ける、ということだけに集中できていました」

―その中で3月28日のヤマザキナビスコカップ予選リーグ第2節モンテディオ山形戦で初先発を果たし、フル出場でチームの勝利に貢献しました。 「あの時も、試合の2日前に急にスタメンだと言われたんですが、試合に出る準備はできていたし、いろいろなことを想定して練習にも取り組めていました。試合前には多少は緊張したけど、試合が始まってからは全く緊張もなく90分間、楽しんで戦えましたね。ただ一方で、自分のプレーに必死過ぎて、正直あまり周りが見えていなくて(笑)。試合終了のホイッスルを聞いて『ああ、勝ったんや』みたいな感じになったことを考えても、周りにかなり助けてもらっていたんだと思います。それでもピッチに漂う熱やスタジアムの空気感、自分に残る心地良い疲れみたいなものも全部含めて、プロになって初めて『ああ、これがサッカーだな』って実感しました」

―その後、リーグ戦では6月27日の横浜F・マリノス戦で初先発を飾りました。リーグ、カップ戦とも初先発はいずれもホームでしたが、ノエスタの雰囲気にはどんなことを感じましたか? 「アカデミー時代にトップチームの試合を観に来ていた時から『こんな雰囲気の中でサッカーができたら絶対に楽しいだろうな』と思っていましたが、実際に試合を戦ってみたら想像以上に楽しかったですね。サポーターの声援もすごく響いてきたし、スタジアム全体の空気感も心地良くて『幸せやな』って(笑)。と同時に、そうした空気は誰にでも味わえるものではないからこそ、そのチャンスがある僕はもっとこのスタジアムでプレーせなアカンと思ったし、もっとうまくなって試合に出続けたいという思いも強くなりました」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.24[SEP.2015]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.24[SEP.2015]
  • 「MONTHLY MAIN CAST」(前田凌佑選手特集)
  • 安田理大編集長企画「ヴィッセル全選手裏名鑑」
  • 「ヴィッセル選手の絵しりとり」高橋峻希選手
  • 「VISSEL LAB」チョンウヨン選手
  • 一日店長「ORE★TEN」増山朝陽選手
    (イーザッカマニアストアーズ)
  • チョンウヨン選手 東アジアカップ2015レポート など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

前田凌佑

Profile
前田凌佑(まえだ・りょうすけ)
ジュニアユース時代からヴィッセル一筋の生え抜きボランチ。中盤でのボール奪取力に加え、そこからゴールまで結びつける攻撃センスを持ち味とする。今シーズン、カップ戦・リーグ戦で立て続けにデビュー。自身を磨き続け、勝負の3年目でのさらなる飛躍を期す。
1994年4月27日生まれ、兵庫県姫路市出身、172cm/65kg