ファンパーク

就任1年目の今シーズンは、決して納得のいく戦いができたわけではない。
しかし、サッカーと、選手たちと、そして自分自身とストイックに向き合うことで、
チームにいい意味での「大きな変化」をもたらしたのも事実。
着実に成長しているヴィッセルに対し、
歴戦の名将ネルシーニョは前進するための確かな手応えをつかんでいる。

「自分たちはできる」と信じ始めている

―先日の天皇杯では横浜F・マリノスに勝利(1-0)し、2003年以来となるベスト8進出を決めました。 「クラブにとっても喜ばしい勝利ですが、こうした結果を得ることは何より選手たちの『もっと自分たちは上にいけるんだ』という自信につながりますからね。それはチーム作りにおいても非常に重要な要素だと思っています。この天皇杯は、AC長野パルセイロ、ジェフユナイテッド千葉、そして今回の横浜FMと一つずつ勝ち続けてくることができましたが、選手たちはすでに次の戦いに向けて、もう一段、階段を上るんだという決意を強くしているはずです。最後まで全員で歩幅を合わせて、選手たちと進んでいきたいと思っています」

―前半途中から流れを立て直し、攻守にわたって組織立った戦いを展開しました。手応えを感じる内容だったのではないですか? 「この終盤にきて選手たちはゲームプランを遂行することに対して、より高い意識を持って取り組んでくれています。もちろん、今回のようにいい内容で勝てた試合は特に組織としての質が際立ちますが、選手たちにはいつも『試合によっても、局面においても、展開は変化する。だからこそ、それにしっかり対応するために密なコミュニケーションを取りつつ、効率のいい連係を取っていこう』と伝えています。その点も含め、このシーズン終盤戦はチームがより成熟してきたという手応えはあります。一方で、リーグ戦におけるチームとしての生産性、プレーの質という部分で見ると、2ndステージはケガ人が多く出てしまったこともあり、少しパフォーマンスが落ちてしまったという印象を抱いています。ただ、そうした苦しいゲームの中でも選手たちは誰一人として諦めていませんでしたからね。それがモンテディオ山形戦、松本山雅FC戦、そして天皇杯の横浜FM戦での公式戦3連勝につながったのだと思います」

―ここにきて安定したパフォーマンスを示せている一方で、1年を通して見ると、チームとしてのプレーの『波』が目立ったシーズンになったようにも思います。 「その通りだと思います。例えば2ndステージ開幕戦の清水エスパルス戦で、我々はチームのボリューム、クオリティー、スコアのすべてにおいて理想的な試合をすることができました。私が考える2ndステージのベストゲームだったと思います。ただ、あの試合で示せたこと、あの試合によって自分たちに抱くことができた期待を、我々は維持できなかった。本来、ハイレベルかつハイパワーなパフォーマンスを何試合も続けて発揮できるようになることが、チームの『安定感』につながっていくのですが、9月から10月に掛けての公式戦6連敗を含め、我々は不安定な戦いを続けてしまった。ただし、その事実は決してチームの成長を否定するものではありません。チームの外から見ていると分かりにくい部分かもしれませんが、先ほどお話しした諦めない姿勢を含め、選手は2ndステージにおいてプレーの質、サッカーに取り組む姿勢はもちろん、頭の中も非常に成長してきました。1stステージと比べても、その成長の度合いはかなり大きかったと思っています」

―「頭の中」とは、戦術理解度のことを指していますか? 「それもありますが、何より彼らが今『自分たちはできる』と信じ始めていることが、1stステージにはなかった変化だと思っています。これまで私は常々彼らに『諦めるな。自分を信じることをやめるな』と言い続けてきました。その部分で彼らが今、大きな変化を見せ始めていることは、来シーズンにつながる大事な要素だと思っています。また、選手たちの頭が常に前向きな状態を維持し続けていることも、私にとっては喜ばしいことです。なぜなら、その状態が続けば、選手たちは間違いなく成長し、引いてはそれがチーム力につながっていくからです。だからこそ、選手たちにはこれからも最後の最後まで自分を信じること、諦めずに戦い続けることを習慣づけてほしいと思っています」

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つづきは、オフィシャル月刊誌「ヴィッセルスマイル」Vol.27[DEC.2015]でお読みください。

ヴィッセルスマイル Vol.27[DEC.2015]
  • 「MONTHLY MAIN CAST」(ネルシーニョ監督特集)
  • 2015シーズン振り返りインタビュー
    (チョンウヨン、渡邉千真、森岡亮太、高橋祥平、前田凌佑、増山朝陽)
  • 「ヴィッセル選手の絵しりとり」山本海人選手
  • 「VISSEL LAB」前田凌佑選手
  • 一日店長「ORE★TEN」森岡亮太選手(イーザッカマニアストアーズ)
  • Mr.ファイティングスピリット座談会(北本久仁衛、渡邉千真、石津大介)
  • 三木谷ハウス通信 など

価格:500円(税込)

「ヴィッセルスマイル」の詳細

ネルシーニョ

Profile
ネルシーニョ
コリンチャンスやサンパウロといった母国の名門クラブ以外にも、JリーグのV川崎や名古屋の監督も歴任。前所属の柏では在籍5年間で6つのタイトルを勝ち取るなど、優勝請負人としても知られる。神戸の監督に就任した今季は柔軟な戦術と規律を植え付け、ワンランク上のチーム作りを推進する。
1950年7月22日生まれ、ブラジル サンパウロ州出身