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ヴィッセル神戸のオフィシャルパートナーを務める神戸女子大学 。同大学の健康スポーツ栄養学科の卒業生で現在は三木谷ハウスのキッチンを仕切る藤本有希子と、同大学の坂元美子准教授がお仕事内容を紹介 。サッカーに役立つ栄養学の情報も教えてくれました!

  • 三木谷ハウス調理スタッフ 藤本有希子

    神戸女子大学健康スポーツ栄養学科卒業。在学中の12年から三木谷ハウスでアルバイトを始め、14年から業務委託を受けて同調理スタッフを務めている。

  • 神戸女子大学准教授 坂元美子

    過去にオリックスブルーウェーブ(現バファローズ)、INAC神戸、現在は京都橘高校サッカー部などで栄養指導を行う。全国各地で講演を行うなど精力的に活動する。

Q. 健康スポーツ栄養学って?

藤本
前提として、どんな人でも5大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミン)をバランス良くとることが大事です。その上で汗を良くかく人、筋肉量の多い人など、それぞれの人に合わせて5大栄養素のバランスを少し変えて一人ひとりに寄り添う。「基礎からの応用」を提案し、「食」を通して健康やアスリートの体づくりをサポートする。それが健康スポーツ栄養学を生かした、私たちの仕事だと思っています。

坂元
一般の人とスポーツ選手の大きな違いはエネルギーの消費量です。筋肉に着目しがちですが、筋肉の材料であるたんぱく質だけを一生懸命とっていても、エネルギーが足りていなければたんぱく質はエネルギーとして使われ、筋肉には還元されません。ですので、スポーツ選手はより多くのエネルギーが必要になります。そのエネルギーを藤本さんの言うとおり、5大栄養素でバランス良くとることが大切です。

とある日の三木谷ハウスの食事。 日々、栄養バランスのとれたメニューを提供している
Q. やりがいを感じる瞬間は?

藤本
食事を通して選手たちをサポートすること。そのこと自体、すごくやりがいのある仕事だと思いますが、一番は毎日を過ごす中で選手たちの変化や成長を感じられることです。特に、U-18の選手たちは肉体的にも精神的にもたくさん成長します。私たち調理スタッフはそれを「見守る」というスタンスですが、試合に勝つことがすべてではなく、負けたことがきっかけで大きく成長する選手もいます。そういう姿を見てたくさんの刺激を受けています。

坂元
選手たちのそばで見守ること、寄り添うこと。本当のお母さんになった気持ちで選手にかかわるのは、すごくやりがいがあります。そんなふうに接すると、選手たちから頼ってきてくれることが増えます。結果、選手との信頼関係が構築され、チームも強くなって結果につながった時は、充実感を感じられました。食事を指導することは、チームが強くなるだけでなく、選手の成長も結果の一つだと思っています。

坂元准教授は京都橘高校サッカー部や日ノ本学園女子サッカー部を食事面からサポートしている。
Q. どんな工夫をしながら仕事している?

藤本
いかにして必要な栄養をとってもらうかということはいつも試行錯誤しています。例えば、骨をつくる上で欠かせないカルシウムをとることを習慣化してもらいたいと思っていても、なかなかうまくいきません。今の時期だと春菊や小松菜など野菜からもカルシウムをとる方法はたくさんありますが、毎日メニューに組み込んで出すと、やっぱり食べ残しがあったりします。なので、ペーストしてカレーに入れたり、いろいろと工夫しています。

坂元
今の時代、食事はいろいろな取り方ができます。選択肢が増えているぶん、きちんと考えて食事をしないと必要な栄養がとれない時代だと思います。ですので、選手自身が適切な栄養がとれるように高い意識を持ってもらわないといけません。できれば中学を卒業するくらいまでに自分自身で栄養がとれるような知識を身につけてもらうのが理想です。そのためには「伝えること」が大事。私は全国のJクラブのアカデミーに行って講演などさせていただいています。

Q. サッカー選手への“食育指導”や接し方は?

藤本
アスリート(サッカー選手)は健康な体がなければ、競技を続けることが難しくなる大変な仕事だということを理解して、日々の食環境を整えることが大切だと考えています。どのタイミングで何を食べたら良いかを栄養面から考え、それを食材や料理に変えて提供していますが、小さな悩みや困りごとはやっぱりたくさんありますね(苦笑)。例えば、嫌いな食材をどう食べてもらうか。味を変えて出し続けたり、刻んで分からないようにして出してみたり……。少しずつでも克服してもらえるように働きかけています。
また、特に意識するのが試合前の軽食です。U-18チームが土日に試合がある場合、軽食を用意していますが、『栄養フルコース型』の食事ではなく、比較的消化の速い温かい麺類に小さめのおにぎり、バナナやりんご、小さめのあんぱんなど、必ず糖質中心の食品を準備しています。試合が午後の場合、朝食に糖質をとり過ぎてしまうと低血糖(一気に疲れを感じる)になる可能性があるので、試合の前いつ食べるかは重要なポイント。タイミングにも気を配りつつ、食事を提供しています。あと、心掛けているのは選手自身が栄養について高い意識を持ってもらうこと。一人ひとりに栄養の大切さを「伝えること」も大切な役割の一つだと思っているので、根気強くコミュニケーションを取るようにしています。

坂元
私は中学生や高校生を指導することが多いのですが、よくあるケースとして、ケガをしてしまってから、「何を食べればいいですか?」と聞いてくる生徒が多いんです。ケガをしてからではなく、日ごろから必要な栄養をとって、きちんと体のケアをしていたらケガをしない体を作れるということに気づいてほしい。講習に行った時にはそのあたりを重点的にお伝えしています。スポーツ選手にとって、やはり育成年代での体づくりはとても重要です。プロになる前から理想的な食事がとれていれば、プロになった時により生かされてくると思います。
また、私は過去に高校サッカー部に3年間付きっきりで指導したことがあります。大会や合宿にも帯同しましたが、その時の経験から感じたのは、常に一緒にいてコンディションを見ながら食事の取り方を指導することが結果につながるということ。すぐ近くで選手の表情や体調を見ることは、指導する上でとても大事ですよね。
この10年くらいでスポーツ栄養学を取り巻く環境も大きく変わってきています。Jクラブでもトップチームだけでなく、アカデミーにも専属の栄養士がついたり、育成年代における食事の大切さも少しずつ浸透しています。その流れを大きくできるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

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